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私が国を出たのはある事件がきっかけだった。 5つ下の妹、ルゥが流れ矢に当たって命を落とした事件だ。 早くに両親をなくした私たち。妹もいなくなり、私一人で生きていくには優しすぎて辛い国だった。 |
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私の本来の名はリーヴェル=ブラストウィンドという。そして、妹はルーヴェル=ブラストウィンド。 この名前は何らかの儀式の時以外は呼ばれず、普段は名前を短縮して呼ぶ。私の場合はリィ、妹の場合はルゥだった。 |
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ハーフエルフの両親の元に生まれた私たち。 幼い頃、私はよく妹を連れ出した。少しでも両親の助けがしたかったからだ。 そして、あの日もいつものように連れ出していた。 |
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数ある散歩コースの中で私が一番好きだったのが湖。 親友とも言える一番の友達、エヴィが湖のそばに住んでいたからだ。 湖に行った時には必ず(と言っていいほど)立ち寄った。 私が両親の訃報を聞いたのはそこだった。 |
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事故ともいえる、事件ともいえる出来事だった。 妹とともに、長に引き取られたのはその後まもなく。 私はハーフエルフだったので、森の巫女候補としての修行をすることになった。 誰もが私を特別扱いした。『ブラストウィンド』の名を継ぐもの、長の庇護を受けていること・・・など、特別視される要因が重なっていたからそれも仕方のないことかもしれない。 反面、妹はエルフだったので、森の巫女候補から外れていた。 活発で、同年代の誰も―私ですら、妹の狩りの腕には敵わなかった。 |
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そんな妹が狩りの途中に命を落としたということに初めは信じられなかった。 その頃、巫女候補の中でも最有力候補、と言われていた私は一人で修行をしていた。 他の巫女候補に会うのは年に一度の祭りの時のみだった。 長は、妹は狩りの途中、流れ矢に当たった、と私に説明した。 正直、納得は行かなかったけど・・・長の言うことは絶対。そう教えられていたので、異は唱えられなかった。 事実を知ったのはエヴィからの情報だった。 |
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彼女が言ったことと長の言ったことに大した差異はなかった。 ただ一つ、妹は狩りの下手な仲間をかばって流れ矢に当たったということ以外は。 妹らしい行動といえば行動だったけど。 |
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私は長に特別許可をもらった。 一番の有力候補でありながら、巫女になることを自ら放棄し、国を出ることを。 私が初めて自分の意見を押し通した出来事だった。 長は私の決意を理解し、そして許可をくれた。 ―最も、エヴィの一言がなければ無理であっただろうが。 |
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「・・・ィ!リィってば!ちょっと待ってよ!!」 後ろから聞こえてくる声に振り向けば、腰ほどもある長い金髪を無造作に束ねた娘―エヴィが追いかけてきていた。 「あれ?エヴィじゃない。どうしたの?確か今日は・・・」 「そんなことはどうでもいいの!どうして私に一言も言わずに出て行くのよ、全く。ほら、これ!」 私の手に何やら握らすエヴィ。 「あ、これ・・・。エヴィの・・・?」 「そ。『森の巫女』たる私の手作りよ。大事にしてよね?(くす)・・・なんて、ね。冗談。本当は、あなたの旅の安全と幸せを願って作ったの。ルゥ―ルーヴェルのこと、忘れろとは言えないけど。これからは、自分のために生きてね?きっと、亡くなったあの子もそれを願ってると思うから」 「ん・・・エヴィ、ありがと。わかってるのよね、本当は。ただ、今までずっとあの子中心だったから。国を出るのは、あの子の為でもあるけど・・・私の為でもあるの。あなたに言わなかったのはこれ以上迷惑掛けたくなかったから。今まで私たち姉妹の面倒を見てくれて、ありがと。国のこと、お願いね。いつか、戻れたら・・・ううん、何でもない。それじゃ、このバンダナ有難く受け取っておくね」 |
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エヴィは私の代わりに巫女となった。 巫女候補と違って、巫女には自由が少ない・・・いや、ほとんどない。 彼女が私を追いかけてこれたのはきっと、長の意思がそこにあるに違いない。 |
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私は受け取ったバンダナを額に巻いて、再び歩き始める。 目的地はずっと南に下ったトロウという国。 『冒険者』という職業につけば、生活に困ることはないだろう。妹に教えてもらったこの弓で、自分の道を見つけなきゃ・・・。 それが、今の私の目標。 |
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リィのイメージ画像 (いつもお世話になっています一条さまが描いて下さりました。感謝です!) |